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はる整骨院


超難症例! 脳血管障害の後遺症でスムーズに歩けない

staff1.jpgこんにちは、四條畷市のはる整骨院院長の藤川です。
私の好きなTV番組にNHKの総合診療医ドクターGという番組があります。

これは実際にあった症例をもとに、VTRに登場する患者の訴える症状から研修医が病名を当てるという番組なのですが、診断力を鍛えるのに非常に参考になるのでできるだけ欠かさず観るようにしています。

今日ははる整骨院で転倒して怪我をされた患者さんの症例を挙げながら、普段私たちがどうお話を聞き、どのように分析し、どのような検査をして病名を判断するかのお話です。

ドクターGには及びもしませんが、非常に難症例だったケースをご紹介させていただきます。
*今回の記事はご本人様の了承のもと掲載しています。

主訴:脳血管障害の後遺症でスムーズに歩けない

女性の患者様で数日前に転倒して怪我をし、来院されました。


怪我自体は捻挫と打撲でしたので、怪我の処置は問題なかったのですが、見ると杖をついて歩きにくそうにしているご様子。
特に歩き出しがおぼつかない感じでした。

歩きにくさは明らかに怪我が原因のものでは無く、脳性マヒかな?と思うような歩き方だったので怪我の処置をしながらお話を伺ってみることにしました。


聞くと2年前にくも膜下出血を発症し、半身に運動麻痺が生じてしまったとのことでした。
それ以来頻繁に転倒を繰り返しているとのことなので、私は怪我が治るまでの間に転倒予防のため歩きやすさを獲得しましょうと提案しました。
ご本人様も喜んでくださり、運動麻痺のリハビリを開始することになりました。

ここまでなら脳梗塞による片マヒかと思いがちですが、この患者様はさらにとんでもない症状を抱えておられたのです。

ここからは少し難しい話になりますがご了承ください。

症状の整合性が合わない・・・!

STEP1 患者様の症状をすべて聞き出す。

以下のように、くも膜下出血をはじめとする脳血管障害では、片マヒ以外にも様々な症状が生じます。
  • 言語障害(特に右半身片マヒに併発しやすい)
  • 複視(物が二重に見える)
  • 記憶障害
  • 認知障害など


この患者様から聞き取りした症状には以下のようなものでした。

  1. くも膜下出血による半身運動麻痺(杖も左で使用)
  2. 膀胱直腸障害
  3. の体と手足の温痛覚麻痺


ん???
膀胱直腸障害と左半身温痛覚麻痺???

膀胱直腸障害というのは排尿排便のコントロールがうまくできないという症状で、半身温痛覚麻痺とはその名の通り熱さや痛みを体の左半分だけ感じることができないという症状です。


このように複数の症状を訴えたとき、まず症状の整合性があるかを判断しなければなりません。

例えば脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の場合、片マヒが生じるのは中大脳動脈が障害された時で、片マヒが起きる可能性は約15%。
決して多い確率ではありません。

つづいて2の膀胱直腸障害は主に脊髄での障害に伴う症状です。
もし脳が原因で起きているとするなら膀胱傷害(排尿障害)は橋(脳幹の一部)、直腸障害(排便障害)は視床(間脳の一部)や延髄(脳幹の一部)とそれぞれ原因が異なるので可能性は薄い。

次に3の半身温痛覚マヒも、やはり脊髄症状であるブラウン・セカール症候群で見られる症状です。
脳が原因の可能性を挙げるなら延髄の障害で起きるワレンベルグ症候群(小脳失調や顔面温痛覚マヒなどが出る)・・・かな?


今回の場合、くも膜下出血に伴う症状として1が中大脳動脈障害による痙性マヒ(錐体路障害と呼ばれる最もポピュラーな片マヒ)なら、1と2・3の症状の整合性が合いません。


やはりくも膜下出血の出血部位がどこか特定しなければ、そして症状の整合性を説明できなければ正しいリハビリは行えません。
 

STEP2 症状から何を疑うか

ここまでで得た情報ををまとめてみます。
  • 2年前にくも膜下出血になった(出血部位は不明)
  • 半身に運動マヒが残った(障害部位は脳>脊髄)
  • 半身に温痛覚マヒが残った(障害部位は脊髄>脳)
  • 膀胱直腸障害がある(障害部位は脊髄>脳)
ちなみに脊髄にもくも膜はありますが、脊髄くも膜下出血では上記の症状は説明がつきません。

しかし脊髄症状を疑うのに十分な症状だったため、くも膜下出血後に稀に見られる後遺症の一つとして、脊髄梗塞を起こしたと言われなかったか尋ねてみました。


答えはYes.


お話を伺えば、やはりくも膜下出血の処置でカテーテルをした際に血栓(血の塊)が脊髄に詰まったとのことでした。
しかし回避できないリスクだったとはいえ、くも膜下出血の後に脊髄梗塞まで・・・これまでのご苦労を察するに余りあります。


どうやら膀胱直腸障害は脊髄梗塞で決まりのようです。


半身温痛覚マヒもやはり脊髄症状であるブラウン・セカール症候群なのか・・・脊髄損傷や脊髄腫瘍ならわかるけど、脊髄梗塞でブラウン・セカール症候群になるのだろうかという疑問も残ります。

そこで半身温痛覚マヒのもう一つの可能性である延髄の障害、ワレンベルグ症候群の検査をすることにしました。
ワレンベルグ症候群なら顔面温痛覚マヒと小脳失調があるはずです。

そもそも半身運動マヒはどうも痙性マヒっぽくないんだよなー、ワレンベルグ症候群に起こる小脳失調ぽいけどなー・・でも歩き方は小脳失調のものとは違うようなー・・なんて思いながら、顔面の痛覚テスト。

すると・・・

検査結果がことごとく予想を裏切る!

意気揚々と顔面の痛覚テストを行った結果、


結果は顔面の痛覚マヒ


えっ、??

しかもご本人様もたった今気づいた様子でした。
さらに痛覚マヒの範囲は舌も頭皮もキレイに半分に痛覚マヒがありました。


どういうことだろう・・・左の三叉神経マヒが起きてる・・・


とにかく半身運動マヒが痙性マヒかどうか検査してみなくては始まらないようです。


私が行ったテストはグーパーテスト。
痙性マヒなら右側はうまくできないはず。
グーパーができる場合は、今度は早くできるかを確認することで脊髄症状との鑑別ができます。

いざ行ってみると・・・


握った手がだけ開かない!


予想を裏切る難解な現象が・・・

握りこんだ手が開かないというのは強直性ミオトミーという、常染色体の遺伝疾患で見られる現象ですが・・・

さすがにそれはないだろうと、いったいどういう現象なのか他の動きもしてもらいながら精査してみました。


その結果がこちら
  1. 右手だけ強くグーをしたあと、手を開こうとするとスローモーションのような開き方しかできない
  2. 素早くグーパーを連続でしてくださいと指示すると、左右共に問題なくスムーズにできる
  3. 左右揃えて座ったままつま先を上げてもらい、下してくださいと指示すると右のつま先がスローモーションのようにしか下りない
  4. 左右揃えて座ったままかかとを上げてもらい、下してくださいと指示すると右のかかとを下すときにふくらはぎがカクカクした

この時すでに私の中では答えが出ていました。

症状が「ある」ということより、「ある」はずの症状が「ない」ことに気づけるか

私 まずはグーパーの問題を解決しましょう。足を適当にバタバタしながら強くグーして開いてください。
患 あ、強くグーしてもちゃんと開く!

私 次は両手を胸の前で握って綱引きしてください。綱引きしたままつま先を上げたり下したりしてください。
患 あ、これもできる!


このやり取りで判明したのは『気を反らせるとできる』ということです。

小脳の障害である小脳失調では『そのことをしようとすればするほどうまくできない』という症状が出ます。

満を持して小脳検査を行ってみました。
検査内容は指-鼻-指テスト。

これは患者の前に差し出した私の人差し指に患者さんの人差し指で触れてもらい(ちょうどE.T.のトモダチのサインのような感じです)、そのあと患者さん自身の鼻に触れてもらってから、もう一度私の指に触れてもらうというテストです。

普通の人ならなんてことはない検査ですが、小脳失調の患者さんが行うと私の指に触れる時に指が震えだします。(企図振戦と言います)

結果はもちろん陽性。

小脳失調は決まりです。

これで上記の
  1. 右手だけ強くグーをしたあと、手を開こうとするとスローモーションのような開き方しかできない
  2. 素早くグーパーを連続でしてくださいと指示すると、左右共に問題なくスムーズにできる
  3. 左右揃えて座ったままつま先を上げてもらい、下してくださいと指示すると右のつま先がスローモーションのようにしか下りない
  4. 左右揃えて座ったままかかとを上げてもらい、下してくださいと指示すると右のかかとを下すときにふくらはぎがカクカクした
の内、1から3は小脳失調で説明がつきます。


最後の4を説明しなければならないので、行ったテストは膝蓋腱反射。

これは錐体路障害が生じているかを見るためのテストですが、結果は右++左+


歩き方が小脳失調のような違うようなという気がしていた正体は、4のふくらはぎがカクカクするというクローヌス(錐体路障害の代表的症状:脊髄梗塞が原因)が小脳失調と混在していたためだったのですね。


さ、ここまできたらくも膜下出血の部位と疾患名を挙げることができそうです。


ちょっと症状をまとめましょう。
  1. の小脳失調
  2. の顔面を含む半身温痛覚マヒ
  3. 膀胱直腸障害
  4. クローヌス

この場合、1と2の症状から出血部位は脳底動脈の橋動脈と推測できます。
顔面痛覚マヒは三叉神経の障害によるもので、障害部位と症状が出てる側は交差しています。

病名はおそらくミルズ症候群(Mills症候群)。


そして3と4の症状はもちろん脊髄梗塞。


2つの障害が入り混ざっていたために判断が非常に難しい症例でした。

どのようなリハビリをしたのか

この方の歩き出しがおぼつかない症状は、竦み足(すくみあし)というパーキンソン病の症状に似た小脳変性症からくる特徴を備えていました。

そこで歩きだしはペンギンのような小股歩きを指導。
これは運動をした時、小脳へフィードバックされる閉ループの運動より、小脳を使わない開ループの運動を用いる方法です。

これが功を奏して歩き出しがスムーズになりました。


クローヌスが原因で下り坂が下れない症状が残っていますが、怪我が治るまでに改善出来たらいいなと思っています。

まとめ

いかがでしたか?

ちょっと難しすぎたかなと反省しています。

もう少しかみ砕いて説明できると良かったのですが・・・


でもはる整骨院の『分析力』『判断力』『応用力』を感じていただけたのではないでしょうか?


患者様の訴える症状と体に現れている現象の整合性を分析し、仮説を立て、必要な検査を行い、病名を推察し、患者様の困っていることを解決する。

今回はそれを証明する症例だったと思います。


怪我の施術以外では保険は利かないので、このような難症例ばかりが増えると少し困りますが、マヒや失調の方で怪我をされたらぜひはる整骨院へお越しください。

怪我再発予防のため、少しでもお役に立ちたいと思います。


この記事を掲載に当たり、ご協力いただいた患者様、ありがとうございました。

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